「一人原画のやべー奴」が生み出すアニメ作画の奇跡
アニメ業界で密かに囁かれる”伝説の存在”がいる。それが「一人原画のやべー奴」だ。通常、TVアニメ1話分の原画には複数のアニメーターが参加するが、この特殊技能保持者は文字通り単独で全カットの作画を完遂する。その驚異的な集中力と技術力は、業界関係者から「人間離れした領域」と称される。
近年では『呪術廻戦』戦闘シーンや『チェンソーマン』のOPアニメーションなどで、特定の天才原画マンが全カットを担当する事例が話題を集めた。1人で400カット以上を描き切るその作業効率は、通常チームの3倍速度に相当する。しかもクオリティは群を抜いており、作画監督修正がほとんど入らないというから驚きだ。
彼らの作業環境にはある共通点がある。深夜から明け方にかけての集中作業、特定のジャンル(格闘シーンやエフェクト作画)への異常なまでのこだわり、そして驚異的な「線の強さ」。この特殊能力を支えるのは、1日16時間以上の描き込みで培った圧倒的な経験値だ。
しかしその代償も大きい。腱鞘炎や眼精疲労との闘い、締切地獄に追われる孤独な戦い…。「やべー奴」と呼ばれる原画師たちの壮絶な創作現場に迫る。