小岩 最後 の 砦|変わりゆく街に息づく”不屈の精神”
東京・江戸川区小岩の路地裏に、古びた看板がひっそりと佇んでいます。「最後の砦」と墨書きされたその場所は、戦後から続く大衆酒場「砦亭」。高度成長期の喧騒をそのまま封じ込めたような空間が、再開発が進む現代の街並みの中で異彩を放っています。
時代に抗うように残る戦後飲食店街
京成小岩駅北口から延びる商店街の奥、細い路地を入った先に現れるのは昭和レトロそのものの風景。赤ちょうちんが揺れる木造平屋が連なり、午後3時を過ぎると醤油と出汁の香りが漂い始めます。地元住民から「最後の砦」と呼ばれるこのエリアには、戦後間もなく創業した12軒の飲食店が今も営業を続けています。
「砦亭」が守り続けるもの
- 創業:1949年(昭和24年)
- 名物:鉄板焼きそば(戦時中の代用食がルーツ)
- 特徴:天井に残るすすの跡が戦後の煤煙を伝承
消えゆく下町文化を伝える人々
3代目店主の山田太郎さん(68)は檜のカウンターを拭きながら語ります。「ビルの谷間で生き残るのは大変ですが、祖父の代から続く味は変えられない。ここでしか味わえない人情こそが本当の『砦』なんですよ」。客席からは常連客の笑い声が絶えず、壁に貼られたモノクロ写真が往時の活気を物語っています。
現代に必要な「砦」の存在意義
都市計画の専門家・鈴木美穂教授はこう分析します。「『最後の砦』は単なるノスタルジーではなく、コミュニティの記憶装置。再開発で失われる地域アイデンティティを可視化する貴重な存在です」。実際、地元中学校では2019年から「砦プロジェクト」を開始、生徒たちが店主から聞き取り調査を行うことで、生きた歴史教育の場となっています。
アクセス情報
〒133-0056 東京都江戸川区南小岩7-xx-xx
京成電鉄「京成小岩駅」徒歩5分
※路地が入り組んでいるため、駅前の交番で道順を確認するのがおすすめ